ファクタリングをしたときには取引記録の会計処理をする必要があります。
個人でも法人でも会計の内容については帳簿に記録しなければなりません。
一般的には税制面で有利になる複式簿記を用いて取引の内容を経時的に記載していきます。
ファクタリングを利用したときにはどのように記載したら良いのでしょうか。
勘定科目をどうしたら良いかも含めて、ファクタリングの会計処理の基本的なやり方を押さえておきましょう。
ファクタリングをしないときの会計処理
ファクタリングをしたときの会計処理を詳しく理解するためには、ファクタリングを利用しなかった場合の会計処理をまず基本として押さえる必要があります。
ファクタリングは売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらう仕組みです。
そのため、ファクタリングを利用しなかった場合には売掛金が発生することになります。
売掛金は取引が成立したことによって売上が発生したと財務上は解釈しますが、取引契約をした時点ではキャッシュが入ってきていません。
会計処理では売上と入金という2つの観点を区別して帳簿に記録する必要があります。
契約によって取引が確定したら、帳簿には借方に売掛金、貸方に売上として同額の取引金額を記入します。
そして、売掛金の支払い期日が来て普通預金の口座に入金されたとしましょう。
借方に普通預金、貸方に売掛金と勘定科目を記載して、売上と同額を帳簿に書き込むのが基本的な会計処理のやり方です。
3社間ファクタリングをしたときの会計処理
ファクタリングをするときには3社間ファクタリングと2社間ファクタリングのどちらかを選ぶのが一般的です。
3社間ファクタリングの場合の会計処理は3つのステップに分けて帳簿に記入することになります。
3社間ファクタリングをするにはまず売掛金が発生することが必要です。
取引先との契約で売掛金が発生した時点で、借方には売掛金、貸方には売上として同額を記入します。
そして、ファクタリング会社と契約したら、契約に基づく収支を帳簿に記載します。
借方の勘定科目は未収金で、売上と同じ金額です。
貸方には売上金として売掛金を勘定科目として同額を記入します。
3社間ファクタリングではファクタリング会社から入金があります。
普通預金口座に入金されたなら、その金額を借方に普通預金として計上し、手数料を売上債権売却損とするのがルールです。
そして、貸方には勘定科目を未収金として売上の全額を記載します。
2社間ファクタリングをしたときの会計処理
2社間ファクタリングの場合には未収金の処理をする必要がないため、3社間ファクタリングに比べると会計処理が簡単です。
2社間ファクタリングでもまず売掛金が発生しなければファクタリングを申し込めません。
売掛金が発生した時点で借方に売掛金、貸方に売上として同じ金額を帳簿に記入します。
そして、2社間ファクタリングの契約をしたら、同じ日に入金をしてくれる場合が多いでしょう。
もし契約の締結と入金が別の日になったときには未収金処理をする必要があるため、3社間ファクタリングをしたときと同じように処理をすることになります。
同じタイミングで契約と入金が成立した場合には、借方に普通預金として入金された金額を記入し、手数料を売上債権売却損として書きます。
貸方には売上と同額を売掛金として記載するというのが2社間ファクタリングの場合の基本的な帳簿の書き方です。
ファクタリングの会計処理のポイント
ファクタリングの会計処理は契約と入金のタイミングによって処理方法に違いがあるのが特徴です。
2社間ファクタリングでは売掛先の企業が関わらないので同日に契約と入金ができるのが一般的ですが、3社間ファクタリングでは契約と入金にタイムラグが生じる場合が多いため、会計処理には違いが生じます。
また、会計処理をするにあたって押さえておきたいのが会計年度をまたぐ場合です。
契約と入金のタイミングが年度をまたぐ場合には、売上に基づいて税金を払う必要があります。
法人税の計算をするときには注意した方が良いポイントでしょう。
ただし、ファクタリングでは消費税はかかりません。
ファクタリングは非課税取引として認められているからです。
ファクタリングのサービスを利用するときには、債権譲渡登記をすることがあります。
登記費用にも消費税はかかりませんが、司法書士に依頼した場合には司法書士報酬と報酬に対する消費税がかかるので注意しましょう。
ファクタリングの会計処理のまとめ
ファクタリングをするときには帳簿に正しく記入することが必要です。
ファクタリングは売掛債権が発生しなければ利用できないので、必ず売上に基づいて売掛金が貸方として発生します。
その後はファクタリング会社との契約と入金のタイミングの違いによって帳簿への書き方が異なります。
まず契約をして、その後に入金してもらう場合には未収金が発生するのが注意点です。
契約と入金が同じ日なら未収金は発生しません。
ファクタリングでは手数料がかかりますが、手数料の勘定科目は売上債権売却損です。
現金の入金を受けたタイミングで、振り込まれた金額を普通預金、売掛金との差異を売上債権売却損として記入します。
ファクタリングの会計処理のやり方は初めて見ると難しそうに見えますが、定式化されているので慣れてしまえば簡単です。
入金のタイミングがいつになるかによって書き方が違う点に注意してファクタリングの会計処理をおこないましょう。